
青森県庁 様
ー導入事例ー


導入事例のご紹介
青森県庁が証明する
「kintone × カンタンマップ」による
自治体DX防疫体制を強化するデジタル活用事例

農林水産業を支える県庁の取り組み
青森県庁 様
青森県庁は、東北地方の最北端に位置する青森県の行政機関として、県民の暮らしを支える幅広い業務を担っている。
豊かな自然に囲まれた農林水産業が盛んな地域であり、日本有数のりんごの生産地としても知られる。その中でも畜産業は農業全体の中で約30%を占め、特に養鶏業が多い。一方で、冬は豪雪地帯となる厳しい気候条件があり、高齢化や過疎化の進行など、地方ならではの課題にも直面している。
こうした地域特性に対応するため、青森県庁では 「住みやすく活力ある青森県の実現」 を目指し、農林水産業の振興や地域経済の活性化にも力を入れている。特に、全国有数のりんご生産や畜産業を支える施策を展開しつつ、近年では DX(デジタルトランスフォーメーション)を推進し、業務の効率化や県民サービスの向上を目指している。その一環として、県庁内の業務改善ツールとして「kintone(キントーン)」や、地図を活用したデータ管理ができる「カンタンマップ」の導入を進め、職員自らが業務システムを構築し、行政のデジタル化を加速させつつ多岐にわたる業務にあたっている。
今回、青森県総務部行政経営課 行政改革推進グループサブマネージャー 総括主幹の川村裕久氏と同部署 主事の小栗弥知幸氏、青森県農林水産部農林水産政策課 総務グループ 特定家畜伝染病防疫プロジェクトチーム 技師の鹿内葉月氏から、当社の「カンタンマップ」を活用した業務改善についてお話を伺った。
なお今回は、当社と青森県庁を繋いでいただいた、青森県庁におけるDXの伴走支援を行った、株式会社テクノル(以下テクノル) 営業本部 青森支店 DX推進課 課長 塚本剛也氏と同じく課長の泉山賢治氏にもご同席いただいた。
課題と導入経緯
kintone(キントーン)を導入したものの…原課への広がりが課題に

青森県庁では、令和4年度に業務のDX(デジタルトランスフォーメーション)推進の一環として、kintoneを導入。
しかし、自治体特有のネットワーク環境(LGWAN)の制約により、インターネット経由での活用が難しく、初期導入は20ライセンスにとどまっていた。
「LGWAN環境では、クラウドサービスの導入に課題が多く、当初はスムーズな運用ができなかった」と川村氏は振り返る。
令和5年度には、LGWANでも動作可能とするために「moconavi」を経由することで環境を整備し、120ライセンスに拡大。
しかし、ここで新たな課題が生じる。「kintoneを導入したものの、思ったように広がらない…」業務改善のために導入したはずのツールが、原課での活用には至らず、職員からも「どのように業務改善に活用できるか分からない」といった声が上がっていた。
職員のスキルがアップしてくると、“使えるプラグイン”が求められるように
そこでテクノルのサポートによるkintoneの操作研修会を毎月実施すると、職員のスキルが向上。次第に、より高度なアプリを自ら作成するようになっていった。
すると、原課の職員から「もっと業務に合ったプラグインが欲しい」という声が多数寄せられるように。例えば、「自動でナンバリングできる機能が欲しい」「郵便番号を入力するだけで住所を自動入力したい」といった具体的な要望が挙がるようになったのだ。その中でも多くの職員から上がったのが、「地図上で情報を管理できる仕組みがあれば……」というニーズだった。

そこで令和6年5月、テクノル協力のもと青森県庁内で「カンタンマップ」の勉強会を開催。すでにkintoneをある程度使っている人がほとんどで「これを地図上で管理できれば、こんなふうに便利になるのでは?」といった具体的なイメージを持っていた。
「参加者の多くが“具体的に業務にどう活かせるか”を明確にイメージしていたため、勉強会後の反応は非常に良かった」と川村氏。
勉強会後のアンケートでは、8つの部署が「カンタンマップを使いたい」と回答。これは、kintone単体の勉強会の際にはほとんど見られなかった反応だった。この反応を受け、青森県庁ではテクノルの伴走支援のもと、「カンタンマップ」を活用した業務のデジタル化が一気に加速した。
特に農林部門や土木部門といった、日常的に現場に出る職員の業務ではkintoneの標準機能だけでは対応が難しかったのが、現在「カンタンマップ」の導入により“現場を知る職員ならでは”の発想力と工夫を凝らした良いアプリを作成し、業務のスピード化を図っている。
「従来のようにベンダーに依頼するのではなく、職員自らが業務アプリを作成できることが、kintoneの大きな利点。その可能性をカンタンマップの活用が一層広げてくれた」と川村氏。
また農林水産部の「りんご果樹課」では、耕作放棄地の管理に地図を活用し、職員自らがアプリを構築。その成果に対して、現場の職員からは「感動した!」との声も上がったと言う。
このように青森県庁の職員たちが単にシステムを導入するのではなく、自分たちの業務に合わせて「自ら作る」という意識を持って取り組んでいることも、青森県庁のDXが成功している大きな要因と言える。
テクノルの伴走支援

青森県庁のDX推進がここまで進んだ背景には、テクノル社の手厚い伴走支援があった。kintoneの導入後、「防疫拠点の情報をもっと直感的に管理できないか?」「地図上で必要な情報を瞬時に把握したい」といった新たな課題に直面する。
このような現場のリアルな声に対し、テクノルは単なる技術提供にとどまらず、職員一人ひとりの悩みに寄り添い、共に考えながら解決策を提示。システム導入を「ゴール」ではなく、「現場が本当に使いこなせる状態」にすることを重視し、継続的なサポートを実施。
その結果、青森県庁のDX推進は単なるデジタル化に留まらず、職員たちが自ら考え工夫して作り上げる「生きたシステム」へと進化したと言える。

活用例「鳥インフルエンザ対策」
「過去の大変な思いを二度と繰り返したくない」 現場経験者の声から生まれた仕組み
鳥インフルエンザの発生時は、発生農場での防疫作業だけでなく、作業員が着替え等を行う「集合施設」、車両消毒を行う「消毒ポイント」、殺処分した鶏を埋却する「埋却地」など、農場以外に複数の防疫拠点が設置される。県では、平時から、農場ごとに防疫作業の方法や防疫拠点の情報をとりまとめた計画(防疫計画)を作成しており、発生時はこの防疫計画に基づき、防疫作業を実施する。しかし、防疫計画の作成に当たっては、作成業務の効率や情報共有の面で課題を抱えていた。
「令和4年、国内最大規模となる139万羽の鶏を飼養する農場で鳥インフルエンザが発生し、私は発生地域で防疫作業に関する総合的な連絡・調整を行う立場でした。発生時は、防疫計画にしたがって防疫作業を進めることになりますが、当時は、最新の防疫計画が共有されていないことによる情報の錯綜や、現場の地理的イメージがつかめないことによる防疫拠点間の連携不足などで、想定外の問題が様々生じていました。その時の大変な経験が、無駄なくより効率的に仕事を進めたいという思いにつながっています」と農林水産部の特定家畜伝染病防疫プロジェクトチームの鹿内氏は語る。
そこで、青森県庁は「kintone×カンタンマップ」を活用した防疫計画のデジタル化に着手、具体的には以下のような仕組みを構築した。

防疫計画をデジタル管理

これまでパワーポイントで作成していた防疫計画をキントーンを用いて統一した入力フォームを作成することで、情報の粒度を統一。防疫計画の作成・更新作業のための職員の負担軽減だけでなく、農場や防疫拠点の必要な情報を即時に検索することができ、利便性が向上。
防疫スキームを地図上で可視化
農場及び防疫拠点を「カンタンマップ」上で地図化することにより、防疫スキームを可視化。
・農場ごとの地理情報を一元管理 … これまで手作業でマッピングしていた情報を、地図上で自動表示。


・関係施設の連携強化 … 殺処分を行う農場だけでなく、集合施設、消毒ポイント、埋却地等もマップ上で一括表示。
積雪状況などの現場の写真を即座に共有
鳥インフルエンザは冬季に発生しやすく、積雪が対応の大きな障害になることもある。「除雪が不十分なために消毒ポイントが使えない」「雪に埋もれてしまうと現場の状況が確認できない」などだ。そこで、冬のシーズンは職員が定期的に積雪状況を確認し、施設の利用可否や除雪の必要性等を確認している。
現地で撮影した写真をカンタンマップのpin上にアップロードすることで、現場を知らない職員も現地の地理的イメージが容易に醸成される。
防疫作業に必要な資機材の管理
防疫作業には、様々な資機材が必要となる。そこで、消毒薬や防護服などの防疫資材のほか、発電機や投光器などのレンタル機材などの調達リストも入力フォームを作成し、平時から調達担当者が確認できる仕組みを整備。

「これまで地図を手作業で作成していたが、今ではボタン一つで可視化できる」と鹿内氏。これまで、Googleマップを使って自分の目でおおよその位置を確認していたが、「カンタンマップ」を導入したことで、より正確で効率的な業務が可能となり、防疫計画の精度向上と業務負担の軽減が実現された。鹿内氏は、「カンタンマップ」の導入による変化に大きな感動を覚えたという。
「このようなことが実現するなんて、本当にすごい。感動しました。今までのやり方は何だったんだろう…と思います。青森のように広い地域では特に、その違いを実感します」
これまで手作業で行っていた業務がデジタル化されたことで、正確性と作業効率が飛躍的に向上したことが伝わる、当社としては本当に嬉しいお言葉をいただけた。
常に最新の防疫計画を共有できる体制が重要
これまで、職場のPCでなければ防疫計画を作成・更新できないという制約があった。しかし、鳥インフルエンザのような発生を予測できない業務の計画は、発生時のために常に最新情報であることが求められ、全ての関係職員に最新の情報を共有できる体制が重要となる。
「防疫計画の作成は、これまで職場のPCでしか作業できなかったので、現地確認した後に職場に戻ってから作成・更新の作業を行っていました。でも鳥インフルエンザなどの家畜伝染病は、いつ発生するか予測できない。カンタンマップを活用すれば、現地確認時にその場ですぐに防疫計画を作成・更新できるので、常に最新の情報を共有できて、職員の負担軽減につながりました。また、瞬時に地図化できるので、現場を知らない職員でも地理的イメージがしやすいというメリットもあります。」と鹿内氏。
これにより、従来の「最新の防疫計画はどれか」 「現場の地理的イメージができない」といった課題が大幅に解消された。また、防疫作業に必要な情報が一元化されたことで、発生時に迅速に対応できる体制を整備。現場の畜産関係職員からも、「高い精度の防疫計画を簡単に作成できるようになった」と高く評価されています。
現在、青森県庁では 鳥インフルエンザ対応にとどまらず、豚熱等の他の家畜伝染病対応にも同様のシステムを展開する計画を進めており、この青森県庁の防疫対策への取り組みは、自治体DXの先進事例として他の都道府県庁からも注目を集めている。
今後の展開
青森県庁DX、自治体全体への波及を目指し次なるステージへ

青森県庁では、現在kintoneを300ライセンスまで拡大し、さらなる活用を進めている。今後は、より多くの部署での活用を目指し、
・他自治体への横展開:青森県庁の成功事例を基に、県内の自治体にも広める
・さらなる業務の可視化:防災、土木、観光分野などへの展開
・職員のスキル向上:システムの内製化を促進し、現場主導のDXを実現
といった取り組みを推進する予定。
この青森県庁の事例は、自治体DXにおける「kintone × カンタンマップ」の可能性を示し、職員自らがデジタルツールを活用し、業務を改善できることを証明した。
特に、テクノルの伴走支援が成功の鍵となり、技術サポートと実践的な活用支援によってスムーズな導入が実現。
この青森県庁の成功事例を通じて、他の自治体でも「自分たちでもできる」という意識を持ち、DX推進の一歩を踏み出すきっかけとなることを期待している。
(2025年2月取材)
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